ばね指の治療・手術について

指を動かす腱は腱鞘というトンネルを通っています。使いすぎなどによる腱と腱鞘の間の摩擦によって炎症を生じ、痛みがでる状態が腱鞘炎です。腱が太くなったり、腱鞘が厚くなったりして腱の通過障害が起きると、指を伸ばそうとすると一旦引っかかったあとにばねのように勢いよく伸展する弾発現象がみられるようになります。

治療は安静、外用薬、ステロイド注射などの保存療法をまず試みます。保存療法で改善しない場合は、腱鞘切開術が必要となります。

当クリニックでは局所麻酔での小切開(1cm程度)日帰り手術を行っており、手術時間は約10~15分程度です。

イラスト入り説明(日本手外科学会 手外科シリーズ3. ばね指 から引用)

手根管症候群の治療・手術について

正中神経という手首の掌側にある神経が、手根管というトンネル内で圧迫され、母指・示指・中指と薬指の母指側にしびれや痛みを生じる疾患です。症状が悪化すると母指球の筋肉がやせてきて、小さいボタンを留めるような細かい動作が難しくなります。

治療は手指の安静、サポーター、注射などの保存療法を試みますが、改善しない場合は手根管解放術を行う場合があります。

当クリニックでは局所麻酔での小切開(2cm程度)日帰り手術を行っており手術時間は20分程度です。

イラスト入り説明(日本手外科学会 手外科シリーズ1. 手根管症候群 から引用)

橈骨遠位端骨折の治療・手術について

転倒時に手をついたときなどに、手首に強い痛み・腫れが出現。ときに変形が見られます。痛みで手首と指が動かせなくなり、しびれが生じることもあります。骨折はレントゲンでほぼ診断できますが、時にCTやMRI等が必要となる場合があります。

治療は骨折部の転位(ずれ)が少ないものであれば外固定(添え木、ギプス等)の保存療法を、転位が大きくても整復後に許容範囲での外固定が可能なものは保存療法で治療可能です。保存療法で治療が難しい場合は手術療法になります。一般的にチタン製のプレートとスクリューで固定します。

当クリニックでは伝達麻酔(鎖骨の上から局所麻酔を注入して患肢全体を麻酔します)で手術を行い、手術時間は約1時間です。術後1~3日程度の入院が必要となります。

イラスト入り説明(日本手外科学会 手外科シリーズ13. 橈骨遠位端骨折 から引用)

手指骨折の治療・手術について

スポーツ、事故、転倒などで指を強く打つ、ねじられる、無理に指を曲げられたり伸ばされたりしたときに指の骨折が起こります。骨折部に痛みや腫れ、皮下出血などを生じ、時に指の変形を来します。レントゲンでほぼ診断可能です。

治療は骨折部の転位(ずれ)が少ないものであれば外固定(隣の指とのテーピング、添え木、ギプス等)の保存療法を、転位が大きくても整復後に元に近い位置にもどり安定しているものは保存療法で治療可能です。保存療法で治療が難しい場合は手術療法になります。手術は骨折のタイプに合わせて、鋼線、スクリュー、プレート等で固定します。

イラスト入り説明(日本手外科学会 手外科シリーズ32. 手指の骨折 から引用)

肘部管症候群の治療・手術について

肘の内側で尺骨神経が慢性的に圧迫、牽引、刺激を受けることにより、薬指の親指側と小指、手の甲の小指側にしびれ感を生じます。麻痺が進行すると、手の筋肉が萎縮してきたり、薬指と小指がしっかり伸ばせなくなり、細かい動作が行いにくくなります。

診断には前述のしびれ、麻痺などに加え、肘の内側を指で叩きしびれ感が誘発されるかどうか(ティネル徴候)、親指と人差し指でものをしっかり把持できるか(フローマン徴候)等を確認します。

治療は薬物療法などの保存療法をまず行いますが、改善しない場合も多く、その場合は手術になります。尺骨神経を圧迫している部分を解放する手術、もしくは神経を肘の前方に移動させる手術を行います。

当クリニックでは局所麻酔もしくは伝達麻酔(鎖骨の上から局所麻酔を注入して患肢全体を麻酔します)で手術を行い、手術時間は神経剥離術で30分、神経移行術で約1時間です。移行術の場合は1泊入院が必要となります。

イラスト入り説明(日本手外科学会 手外科シリーズ8. 肘部管症候群 から引用)

ガングリオンの治療について

手首の甲側や掌側等によく発生する腫瘤で、ゼリーのような粘度の高い液体が入っています。

診断するためにMRIや超音波検査を行うことがあります。

ガングリオン放置していても心配ありませんが、大きくなるものや痛みが強いものには治療が必要となります。

注射器で吸引しますが、繰り返し内容物が貯まる場合はガングリオン摘出術をおこなう場合があります。

イラスト入り説明(日本手外科学会 手外科シリーズ5. ガングリオン から引用)